MSI電源における「ATX 3.0 Ready」と「ATX 3.0 Compatible」の違い
結論から
「ATX 3.0 Ready」と「ATX 3.0 Compatible」はどちらも「一般的には」ATX3.0電源。
厳密性の違い。
ぶっちゃけどっち選んでもいいけど、気にする人は「ATX 3.0 Ready」を選ぶんじゃないかな。
下記はMSIの解説ページにある各記述の違いの表。
https://jp.msi.com/Landing/first-power-supply-unit-for-atx-3-pcie-5
MEG POWER SUPPLY(ATX 3.0 Ready) | MPG POWER SUPPLY(ATX 3.0 Compatible) | |
---|---|---|
2x Total Power Excursion | ● | ● |
3x GPU Power Excursion | ● | ● |
PCIe 5.0 ready | ● | ● |
T0 | ● | ● |
T1 | ● | ● |
T2 | ● | ● |
T3 | ● | ● |
T4 | ● | ● |
T5 | ● | 80 % load |
T6 | ● | ● |
違うのは一箇所だけで、「T5」の部分。
T5は「AC loss to PWR_OK hold-up time」の基準。
詳しくは↓
https://edc.intel.com/content/www/us/en/design/ipla/software-development-platforms/client/platforms/alder-lake-desktop/atx-version-3-0-multi-rail-desktop-platform-power-supply-design-guide/2.01/timing-housekeeping-and-control-required/
電源負荷が80%を超えると基準を満たさなくなるので「厳密に言えば」ATX3.0電源ではない。
が、この部分に完全に準拠していなくてもATX3.0対応を謳う場合がほとんどなので「一般的には」ATX3.0電源といえる。
例えばフル出力したときに負荷変動が基準電圧の下限を割っちゃったりするような性能の悪い電源でも、それを律儀にIntelの設計ガイドの規定に照らし合わせると「ATX電源とは呼べなくなる」ので、そんなことはせずにあらかじめ決めた準拠バージョンを謳って売ることになる
— VPСF (@vpcf90) April 22, 2023
そしてATX 3.0のPower Excursion (100マイクロ秒で定格出力の2倍の一時的な負荷への対応、とか)はATX 3.0と2.52/2.53を分ける主要な違いの一つなので、基本的にはここの性能を満たすように作ってATX 3.0と謳って売ることになる
— VPСF (@vpcf90) April 22, 2023
(テストしてみて性能足りてませんでしたということもやはりある)
性能足りてないのが明らかになった例はToughpower GF3 1200Wとかhttps://t.co/gmyOmx97sv
— VPСF (@vpcf90) April 22, 2023
ただそれをわざわざ区別して2.52に落としたり、自信のない項目を意図的に製品ページ等で明記しなかったり、MSIのようにReadyとCompatibleを使いわける頓智を使ったりするものではない
なので、「ATX 3.0 Ready」と「ATX 3.0 Compatible」ぶっちゃけどちらでも良いことになる。他メーカーでは同一視する区別なわけだし。
わざわざ分けてるMSIが律儀というかなんというか…
クッソ厳密にATX 3.0に準拠してる電源がほしいなら「ATX 3.0 Ready」の方を選ぶとか、各種テスト結果を参照する必要がある。